災害時など身体が危険に陥るような場合に役立つような話題で、危機管理を身近に感じてもらい、いつか危機に陥った時に、無意識に被害を最小限にして、リカバリー(復旧・現状復帰)できる思考や、身構えを、感じ取ってもらえたらと思います。
今回は、これから危機管理に対処しなければならない組織(守る側)に、尽力しようとする若者に向けてのメッセージです。
阪神・淡路大震災
1995年(平成7年)1月17日5時46分52秒、淡路島北部沖の明石海峡(深さ16km)を震源として、マグニチュード7.3 の兵庫県南部地震が発生しました。
この日は、成人の日を含む3連休明けの火曜日でした。職場に出勤すると、テレビからは、これまで見たことの無い惨状が映し出されていました。
高速道路の脚柱は、なぎ倒され、街のいたるところから火災の煙が上がり、初めて見る光景でした。
死傷者約5万名、家屋の被害は25万戸以上。私にとっては、初めて地震の怖さを実感した震災でもありました。
また、この時の政府及び自治体等の対応の遅れが、被害を拡大させたとの批判もあり、情報収集の態勢、広域救援の態勢など、法整備を含めた対応が取られ、現在に至っています。
総理の行動など
今でも記憶に残っているのは、当時の総理の行動と発言です。内閣総理大臣は国という行政機関の最高責任者であり、自衛隊の最高指揮官です。それだけの責任と権限を有しています。
震災の発生を知りながら、財界首脳との食事会など公務をこなす傍らで、災害対応をしていたことも報道され、批判を受けました。
また、地震発生3日後の衆議院本会議で、政府の情報収集の遅れと危機管理体制の不備を問われ、
「・・・しかし、今から振り返って考えてみますると、何ぶん初めての経験でもございますし、早朝の出来事でもございますから、幾多の混乱があったと思われますけれど、いずれにいたしましても、・・・」と答弁しています。
国の最高責任者が、「初めての経験だから」と弁解し、初めてのことには対応できなくて仕方ないという無責任さ、無能力さを露呈してしまったように感じました。
国家として持てる力を出し切り、対処したのかと考えた時、とても悔しい気持ちになった四半世紀も前の出来事でした。
リーダー(指揮官のなすべきこと)
危機に対処すべき組織のリーダー(指揮官)のなすべきことは、当該組織が直面している危機に対し、
①対処すべき問題を明確にし、 「目的の明確化」
②致命傷となる事項から優先的に、 「優先順位の付与」
③戦力(持てる力)を集中投入して、 「戦力の集中」
問題を排除することです。
その戦力には、物理的なものもあれば、人の心のようなものもあります。
この3段階の考え方は、災害などの危機に限ったことではなく、会社の経営危機などにも、当てはめることができると思います。
これに加え、国難と言われるような危機においては、立場や状況に応じて、法さえも超える勇気を持たなければならないことがあります。
有事(危機)だから、法を超えて良いということではありません。平時の指揮官は、有事を見据え、その準備をしっかりしなければなりません。それは、自衛隊、警察、消防、国、地方自治体等あらゆる組織がそれぞれの使命を果たすために、できる限りの準備をする。装備の強化、人員の能力向上、制度の拡充、準備することは無限にあるかもしれません。十分に準備していても、その想定・準備を超えた場合は、法を超えてでも臨機応変に対応し、国民を守らなければならない時があるのです。その時に決めるのが、リーダー(指揮官)なのです。
リーダー(指揮官)になるために
では、どのようにリーダになるために、自分を鍛えればよいでしょか?
危機管理のルーティンは、「予知・予測」 ⇒ 「回避・対処」 ⇒ 「被害復旧」 ⇒ 「再発防止」 ⇒
と、佐々淳行氏が述べられていたと思います。
自分(あるいは所属する組織)の責任と権限において、被害復旧までの段階について、どのようにするのかを、しっかりイメージトレーニングしておくことが、大切です。
そして、実際にやり方に慣れておかなければならないものは、しっかり訓練するのです。
では、これから危機管理を目指す方への質問(課題)です。
『現状のコロナ対策を危機管理に照らすと、
①対処すべき問題は? ②致命傷となる事項の優先順位は? ③集中投入する力とは?』
どのようになるでしょうか?
内閣総理大臣と、担当大臣では、責任と権限が違うので、少し、答えが違ってくるかもしれませんね。
イメージトレーニングをしてみてください。
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